相続問題で弁護士ができること
■相続の流れ
・遺言に関する手続き
相続の手続きを始めるにあたっては、最初に遺言の有無を確認します。公正証書遺言・秘密証書遺言の場合は公証役場で保管されることとなっているため、容易に確認できます。しかし、自筆証書遺言の保管場所には特に規定がないため、被相続人の自宅等に保管されていないか、慎重に確認する必要があります。
・相続人の調査
相続手続きを行う前提として、相続人の調査も欠かせません。
遺言がなかった場合、相続人は民法900条に従って決定します。
具体的には、被相続人の配偶者・子は常に相続人となります。そして、子や孫がいなかった場合には被相続人の配偶者と直系尊属が相続人となります。直系尊属もいない場合、被相続人の配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。なお、被相続人に配偶者がいない場合には、①子、②直系尊属、③兄弟姉妹の優先順位のうち最上位のものが単独で相続人となります。
相続人の調査では、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集め、これをもとに被相続人の親族関係を明らかにしていきます。
・相続財産の調査
相続財産とは、被相続人の一切の権利義務をいいます。つまり、ここには正の財産と負の財産の両方が含まれます。
正の財産として、土地や建物(不動産)、銀行預金、有価証券、高価な動産などがあります。
不動産を調査するには、役所で名寄帳を受け取って調べるという方法が有効です。名寄帳はその地域内での所有不動産の一覧表です。
銀行預金については、保管されている通帳やカードを探して調査します。有価証券については、証券会社や信託銀行に確認して調査するのが有効です。
負の財産として主なものには、借金などがあります。こちらについては、契約書や郵便物(督促状等)を探して調べるのが良いでしょう。
・相続放棄と限定承認
相続放棄とは、相続人としての地位を放棄する旨の意思表示を行うことをいいます。これを行うことにより、初めから相続人ではなかったものとして扱われます(遡及効)。
限定承認とは、相続により得た正の財産額の範囲内で、負の財産について責任を負うという意思表示です。例えば、相続により1000万円の銀行預金と3000万円の借金を承継した場合、相続人は1000万円の範囲内で借金の返済義務を負うことになります。
相続放棄や限定承認は、相続財産全体を合計するとマイナスとなってしまうような場合に利用されています。これらの意思表示は、相続人の死亡を知った時から3か月以内に家庭裁判所で行う必要があり、この期間を経過してしまった場合には、権利義務のすべてを通常通り承継する(単純承認)ものとして扱われることとなります。
・遺産分割協議
相続人が複数人いる場合、具体的に誰がどの財産を承継するのかについては相続人全員の合意により決定することとされています。これを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議では相続人全員が合意すればよく、話し合いの方法については定められていません。相続人が集合して話し合う形式のほか、メール、電話会議、一つの案について持ち回りでサインする方式も認められています。
■相続問題で弁護士ができること
このように、相続では、多くの手続きをこなしていく必要があります。そして、法律上の要件を満たさない場合、手続きが法的効力をもたないこととなってしまいます。
弁護士に相続について相談することで、的確な助言を受け、円滑な相続を実現することができます。
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